型を支える研究

記録を共有し、実行の段取りを決め、進み具合を確かめる。MIRAI BOARDのこうした仕組みを支える研究と公的データを、「標準の型」の章に沿って紹介します。
これらの知見を土台に、AIとの協働で検討と実行の幅・深さ・速さを広げ、これまで自社だけでは取り組めなかった仕事や成果を目指します。

経営を一人の記憶に頼らないこと(第1章)

誰が何を知っているか、仕事をどう進めるかをチーム内で共有できていることは、成果と関係します。65件の研究をまとめた分析で、この関係が確かめられました(注1)。
日本の中小企業白書でも、経営者が培ってきた経営資源を次の世代へ引き継ぐことが課題として取り上げられています(注2)。帝国データバンクの調査では、2025年の株式会社・有限会社の社長の平均年齢は60.8歳。1990年以降、35年続けて過去最高を更新しました(注3)。
MIRAI BOARDでは、結論と判断理由を、チームが使える記録として残します。社長や特定の人の説明を毎回待たずに、同じ判断を踏まえて仕事を進める土台を整えます。

生成AIの利用を仕事の変化につなげること(第2章)

総務省の令和8年版情報通信白書では、企業向け調査のうち、生成AIの業務利用に関する設問に回答した日本の企業の86.4%が、何らかの業務で利用していると答えました。前年度調査の55.2%から増えています(注4)。
一方、業務変革に関する設問で「組織的な取組はない」と答えた割合は、日本が27.0%。米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%を上回りました。日本の中小企業では、活用方針を「明確に定めていない」との回答も31.5%ありました(注4)。
この調査は、従業員10人以上で、2025年までにデジタル化に着手した企業の管理職以上を対象にしています。設問ごとの集計対象は出典に記載しています。
MIRAI BOARDでは、AIの利用を、会社の方向を考えること、担当者が具体化すること、記録を次の仕事に使うことにつなげます。経営の判断と日々の実行を、同じ仕事と記録でつなぎます。

頭に置かず、書き出すこと(第3章・第6章)

やりかけの仕事が気にかかり、別の仕事への集中を妨げることがあります。実験では、未完了の目標について具体的な実行計画を立てると、目標がまだ達成されていなくても、こうした思考の割り込みや、別の課題への干渉が抑えられました(注5)。
MIRAI BOARDでは、気になっていることを書き出し、次にすることを具体化します。頭の中だけで抱え続けず、記録を見れば再開できる状態をつくります。

誰が・いつまでに・何をやるかを決めること(第6章・第8章)

「この状況になったら、この行動をする」というように、いつ・どこで・どう動くかまで決めておく方法は、目標の達成を助けます。94件の検証をまとめた分析で、中程度から大きい効果が確かめられました(注6)。
MIRAI BOARDでは、決めたことを担当者と期限のある仕事にし、必要に応じて着手する場面や最初の一手まで具体化します。会議での判断を、担当者が動ける段取りへ落とし込みます。

計画をつくること(第8章)

小規模企業を対象とした二つの研究統合では、計画づくりと業績の間に、プラスの関係が見られました。関係の強さは、企業の状況などによって異なります(注7)。日本の小規模企業白書にも、経営計画を作成したことのある事業者のほうが、売上が増加傾向にある割合が高いという調査結果があります(注8)。
MIRAI BOARDでは、全8回を基本に中期経営計画をつくり、AIを使って検討する案の幅と深さを増やします。計画と業績の関係を参考にしながら、計画を実行し、結果を見て見直すところまで扱います。

進み具合を確かめ、記録に残すこと(第9章)

138件の実験、参加者約2万人をまとめた分析では、進み具合を確かめる働きかけが、目標達成を促していました。進捗を記録する場合や、人に見える形で報告する場合は、効果がより大きくなっていました(注9)。日本の小規模企業白書でも、計画を十分に運用できていると答えた事業者のほうが、売上や利益が増えた割合が高いという調査があります(注10)。
MIRAI BOARDの月次経営会議では、記録をもとに進捗を確かめ、必要な判断を行い、次の実行へつなぎます。記録と確認を、毎月の経営の進め方に組み込みます。

AIと実際の仕事を進めること(第10章)

生成AIとの協働による変化は、実際の仕事に近い課題や職場でも測られています。453人の専門職が文書をつくる実験では、ChatGPTを使ったグループで、作業時間が平均40%短くなり、成果物の質の評価が18%高くなりました(注11)。
顧客サポート担当者5,172人の現場研究では、AIによる支援を利用できるようになると、1時間あたりの解決件数が平均15%増加。経験や技能が少ない担当者では約30%増え、AIを使う入社2か月の担当者が、AIを使わない勤続6か月超の担当者に並ぶ結果も得られました(注12)。
コンサルタント758人を対象とした実験では、当時のAIが得意とする課題で、成果物の質の評価が40%以上高まりました。一方、AIが不得意とする課題では、AIを使ったグループのほうが正解率は低くなりました(注13)。
MIRAI BOARDでは、AIとの対話で目的や前提を問い直し、多くの案を比べ、提案や試作品まで具体化します。生成AIは、その時々で最適なものを選びます。出力は人が見極め、必要に応じて複数のAI、一次情報、詳しい人の知見も使って確かめます。
社員がこうした「編集する力」を身につけ、記録から仕事を積み重ねるための学習・実践支援が、MIRAI EDITです。MIRAI BOARDで扱う実際の仕事を通じて、会社の判断と担当者の実行につなげます。

出典一覧

注1 DeChurch, L. A. & Mesmer-Magnus, J. R. (2010). The Cognitive Underpinnings of Effective Teamwork: A Meta-Analysis. Journal of Applied Psychology, 95(1), 32–53.

注2 中小企業庁「中小企業白書」2021年版 第2部第3章第1節、2022年版 第1部第1章第7節。事業承継に関する記述。

注3 帝国データバンク「全国『社長年齢』分析調査(2025年)」2026年2月16日公表、2月27日訂正。
本文の平均年齢と推移は、株式会社・有限会社の社長が対象。

注4 総務省(2026)「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節。図表Ⅰ-2-1-2・Ⅰ-2-1-3・Ⅰ-2-1-6。
調査期間は2026年1~2月。従業員10人以上で、2025年までにデジタル化に着手した企業の管理職以上が回答。日本の有効回答は515件。業務利用86.4%は方針「わからない」を除く477件、組織的な取組27.0%は「利用を禁止」を除く497件、中小企業の方針31.5%は162件の集計。

注5 Masicampo, E. J. & Baumeister, R. F. (2011). Consider It Done! Plan Making Can Eliminate the Cognitive Effects of Unfulfilled Goals. Journal of Personality and Social Psychology, 101(4), 667–683.

注6 Gollwitzer, P. M. & Sheeran, P. (2006). Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-Analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119.

注7 Brinckmann, J., Grichnik, D. & Kapsa, D. (2010). Should Entrepreneurs Plan or Just Storm the Castle? A Meta-Analysis on Contextual Factors Impacting the Business Planning–Performance Relationship in Small Firms. Journal of Business Venturing, 25(1), 24–40./Schwenk, C. R. & Shrader, C. B. (1993). Effects of Formal Strategic Planning on Financial Performance in Small Firms: A Meta-Analysis. Entrepreneurship Theory and Practice, 17(3), 53–64.

注8 中小企業庁「2016年版 小規模企業白書」第1部第2章第3節、第1-2-39図「経営計画の作成の有無と売上高の傾向」。

注9 Harkin, B. ほか (2016). Does Monitoring Goal Progress Promote Goal Attainment? A Meta-Analysis of the Experimental Evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229.

注10 中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」第3部第2章第1節、第3-2-17図。

注11 Noy, S. & Zhang, W. (2023). Experimental Evidence on the Productivity Effects of Generative Artificial Intelligence. Science, 381(6654), 187–192.

注12 Brynjolfsson, E., Li, D. & Raymond, L. (2025). Generative AI at Work. Quarterly Journal of Economics, 140(2), 889–942.

注13 Dell’Acqua, F. ほか (2023). Navigating the Jagged Technological Frontier: Field Experimental Evidence of the Effects of AI on Knowledge Worker Productivity and Quality. Harvard Business School Working Paper 24-013.

お役立ち資料(PDF)

第1版(2026年8月)・全11ページ
MIRAI BOARDの考え方と、型を支える研究・公的データをまとめた資料です。社内で導入を検討するときの共有資料としてお使いいただけます。登録なしで開けます。

資料を開く(PDF)

社長に集まっている判断や仕事、これからチームに任せたいことをお聞かせください。

相談する

▼ note
社長の記憶、チームの記録。——会社で何かが進まないとき、原因は人ではなく構造にあります。経営の見方を、一本にひとつずつ記事にしています。

https://note.com/miraiboard

▼ 書籍『社長の記憶から、チームの記録へ』
Webサイトとnoteの内容を、書籍にまとめています。Kindle版とペーパーバック版があります。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0HFYNW1H2/