型について

MIRAI BOARDの型の中身は、このページにすべて記載しています。
『標準の型』の第1章から第10章までと、型を支える研究、道具の受け持ち、会議のあとの仕上げの流れです。受け方と料金、合う会社と合わない会社、よくある質問は、それぞれのページにあります。

第1章 MIRAI BOARD(ミライボード)とは

前回の会議で何が決まったか。決まったことはどこに書いてあるか。誰が・いつまでに・何をやるか。この三つに答えられるのが社長だけなら、経営は社長の記憶で回っています。

MIRAI BOARDは、社長の記憶で回っている経営を、チームの記録で動く経営へつくり変える型です。手順と道具で、決めたことが記録になり、その記録が次の仕事を決めていきます。

三つの「やりっぱなし」

多くの会社で、会議は報告で終わり、計画は作って終わり、研修は受けて終わります。どれもやりっぱなしです。

MIRAI BOARDは、この三つの組み合わせです。
中期経営計画で、誰が・いつまでに・何をやるかを決めます。
月次経営会議で、進み具合を確かめ、記録に残します。
全社AI研修で、取締役から従業員までが、決めた仕事をAIと進められるように鍛えつづけます。

三つは、別々のサービスではありません。決めたことを仕事の単位まで割り、一人ひとりがAIと進め、その結果が翌月の会議に戻ってきます。この一回りを毎月続けるための組み合わせです。人がAIを使い、AIが一人ひとりの調べる、考える、作る仕事を助けます。これが進むほど決めたことは速く進みます。経営が記録で動くようになります。

第2章 型の成り立ち

MIRAI BOARDは、20年以上かけて三つの場で検証してきた型です。

一つめは自分の仕事です。頭の中にあるものをぜんぶ書き出し、誰が・いつまでに・何をやるかをはっきりさせて進めてきました。

二つめは経営の立場です。会社の計画をみんなに見える場所に置き、日々やったことで計画を書き換えながら進めてきました。

三つめは経営を支援する仕事です。支援先の社長や取締役と話したこと、決めたこと、やることを、記録に変えてきました。

進み具合の確かめ方や会議の進め方は、さまざまな会議手法からよいところを取り入れています。ただし、高い目標を宣言させ、その圧力で人を動かすところは採りませんでした。目標の高さも、宣言の重さも、人によって変わります。人で成果を出すやり方は、型になりません。

この型はいまも、経営の現場で進化を続けています。道具はよいものが出たら入れ替えます。

いまの道具は、普段の会話が残るSlack、考えが目に見えるMiro、決めたことや資料をためてみんなで使えるNotionです。そこに、これらの記録を読んで働く生成AIが加わります。議事録の下書きづくりから調べものまで、生成AIが受け持ちます。この組み合わせが型をいちばんよく動かします。

この型を回すには、頭の中にあるものをぜんぶ書き出し、施策を仕事の単位まで割り、決めたことを記録に変えつづける力が要ります。長いあいだ、これができる人は限られていました。いまは、頼めば生成AIがたたき台を出します。ゼロから書くのは難しくても、出てきた案を直すことならできる人は多いです。だから、以前より多くの人がこの型を扱えるようになりました。

名前のこと

BOARDには三つの意味を重ねています。仕事を並べて動かすボード、会社のいまの状態がひと目で見えるダッシュボード、そして取締役会です。取締役会も、英語ではボードと呼びます。

MIRAIは、十年後、二十年後に創りたい未来のことです。その未来から逆算して、いま何をやるかを決めます。

第3章 型の土台

多くの会社では、計画と日々の仕事が別々に動いています。計画は期初に作られたまま動かず、日々の仕事はそれぞれの頭の中で進んでいきます。期末になって、ずれに気づきます。

この型の土台には、二つのやり方があります。どちらも世界中で長く使われてきたものです。

一つめは、大きな仕事を小さく割っていく方法で、WBS(Work Breakdown Structure=作業分解)と呼ばれます。割った一つひとつがタスクです。「新商品を出す」のような施策のままでは、誰も手を付けられません。誰が・いつまでに・何をやるかまで割ってはじめて、仕事は動き出します。割った結果は一覧になり、みんなに見えます。

もう一つは、頭の中の気になることをぜんぶ書き出してから、一つずつ片づけていく仕事術で、GTD(Getting Things Done=物事をやり遂げる)と呼ばれます。覚えておくことを頭の仕事から外すと、目の前の一つに集中できます。書き出したものは、そのまま記録になります。

MIRAI BOARDでは、この二つをつなげて使います。中期経営計画で決めた施策を、WBSでタスクまで割ります。各自はGTDで日々の仕事を回します。WBSにあるタスクを進めながら、そこに書ききれていない仕事も拾っていきます。

進めていけば、計画とのずれは必ず出ます。ずれはまず部門の中で調整します。部門で判断できない大きなずれは、月次経営会議で扱います。個人が計画を勝手に書き換えるのではなく、決まった場で調整します。こうすると、計画は古くならず、信頼も保たれます。

WBSは計画をみんなに見えるようにし、GTDは頭の中を記録に変えます。二つが揃うと、経営は記録で動くようになります。

この土台がないまま、会議や計画の仕組みだけを載せても動きません。書く習慣のないところに書かせる仕組みを入れても、書かれない議事録が増えるだけです。だからMIRAI BOARDの導入は、いつもこの土台づくりから始めます。すでに土台がある会社なら、その先から始められます。

第4章 型の考え方

この型は、精神論を使いません。そう聞くと、緩い型に見えるかもしれません。圧をかけずに経営が変わるのか、という疑問です。

この型にも負荷はあります。毎月、同じ場が同じリズムでやってきます。月次経営会議の前には、自分の施策がどこまで進んだかを記録にして持ってくることになります。準備をして人前に立つ場が毎月あるというのは、軽いことではありません。

違うのは、負荷のかけ方です。人がかける圧は、かける側の腕や熱で強さが変わり、受ける側との相性でも変わります。同じ会議室にいても、強く詰められる人と流される人が出ます。圧は不公平です。仕組みが生む負荷はそうなりません。場は全員に同じだけ来ます。この型の負荷は、緩いのではなく公平です。

この考え方は、型の他の場所にも通っています。

数字を使わないという意味ではありません。数字は、目指す場所といまの成績を教えてくれます。売上や利益の目標を立てることも、店舗や部門の数字を毎日見ることも、これまで通り続けていただきます。ただ、その数字の管理は、この型では扱いません。この型が受け持つのは、その数字を変えるために決めた施策が進んでいるかどうかを見ることです。

その進み具合は、数字では測りません。数字は、結果を確かめるために要ります。ただ、数字を見ただけでは、明日誰が何をするかまでは決まりません。かわりに、施策をWBSでタスクまで割り、仕事が終わったかどうかを見ます。終わったか終わっていないかだけなので、解釈の余地はありません。

人を作り替えることもしません。この型のやり方に合う人も、合わない人もいます。合わない人を叱って変えようとするのではなく、その人に合った別の道を用意します。詳しくは後の章で書きます。

型を回す作業そのものも、人に頼り続けません。議事録を作る、決まったことを一覧に写す、期限を知らせるといった作業は、AIに移していきます。

施策は数字ではなく仕事の完了で見ます。人を変えるのではなく、道を変えます。作業は人からAIへ移します。どれも同じ一つの考えから来ています。人に頼る部分を減らすほど、型は確かになります。

この型は、人には優しく、仕事の進め方には厳しく作ってあります。

第5章 全体像

三つが揃うと、経営はこう動きます。中期経営計画で、誰が・いつまでに・何をやるかを決めます。決めた施策はWBSで仕事の単位まで割り、割った仕事を一人ひとりがAIと進めます。月次経営会議で、進み具合を確かめて記録に残します。全社AI研修は、この『進める』を受け持ちます。取締役から従業員までが、決めた仕事をAIと進められるように鍛えつづけます。決めたことが記録になり、その記録が次の仕事を決めていきます。

ただし、この三つが初めから揃っている会社はありません。どれから手を付けるかは、会社によって変わります。

変わらないことが二つあります。

一つめは、月次経営会議から始めることです。中期経営計画がまだなくても、この場は立ちます。最初の数か月は、部門ごとの当面の課題を持ち寄って、その場で書き出していきます。会社の強みと弱み、外から来る機会と脅威を並べて、何に手を付けるかを決めます。決めたことは、誰が・いつまでに・何をやるかまで割ります。会議が報告の場ではなく、考えて決める場になります。ここで出てきた施策が集まって、中期経営計画の土台になっていきます。

二つめは、全社AI研修をできるだけ早く始めることです。AIを使う力は、使った人のところに積み上がっていきます。使えば次の使い方を思いつき、思いついた分だけまた使います。だから、使っている会社と使っていない会社の差は、時間が経つほど開いていきます。一方で、AIを配っただけでは何も起きません。誰が・いつまでに・何をやるかが決まっている会社では、AIはその仕事に使われます。月次経営会議と早い時期に重ねるほど、研修は効きます。

中期経営計画とビジョン・ミッション・バリューの二つは、どの会社にも作ることをお勧めしています。会社が向かう先が言葉になっていなければ、何に手を付けるべきかが決まらないからです。ただ、着手する時期は会社によって変わります。いますぐ必要な会社もあれば、先に月次経営会議を回してからのほうがよい会社もあります。この二つが何で、何をもたらすのかは、詳しく知られていないことも多いものです。型として中身をお見せしたうえで、始める時期を社長と決めます。

WBSとGTDの土台は、どこかの段階でやって終わるものではありません。第3章で書いたとおり、これは会社の仕事のやり方そのものです。導入の始めから終わりまで、ずっとこの土台の上で仕事を進めます。

いつ

何を

初月から

月次経営会議

早い時期に

全社AI研修

社長と決める

中期経営計画/ビジョン・ミッション・バリュー

つねに

WBS/GTD

社長の記憶を、まず言葉にして記録します。記録した施策を、誰が・いつまでに・何をやるかまで仕事に分けます。一人ひとりがAIとその仕事を進め、結果を月次経営会議へ戻します。そこで決まったことをまた記録し、次の仕事に変えます。

この一回りを毎月続けるうちに、社長だけが知っていたことが、チームが見て、考えて、動ける記録へ変わっていきます。これが、社長の記憶で回る経営が、チームの記録で動く経営へ変わる仕組みです。

この先の章では、まず土台のつくり方を書き、そのあとビジョン・ミッション・バリューから順に説明していきます。実際に始める順番とは違いますが、会社の向かう先から逆算して組み立てる筋道が、この順だといちばん分かりやすいためです。

第6章 土台をつくる

第3章で書いたとおり、WBSとGTDがこの型の土台です。ここでは、それを実際にどう入れるかを書きます。

施策を仕事の単位まで割る

中期経営計画で決まった施策は、そのままでは動きません。「店長が育つ仕組みをつくる」と書いてあっても、明日誰が何をするのかが分かりません。

割るのは、その施策を担当する取締役です。自分の管掌のことなので、いちばん分かっているのは本人です。持ち帰って割り、次の会議で見せてもらいます。

ただ、これができる人と、できない人がいます。できない場合は、AIでたたき台を作ります。施策の名前とその会社の状況を渡せば、タスクの案は出てきます。それを一緒に見ながら、違うところを直していきます。ゼロから書くのは難しくても、出てきた案を直すことならできる人は多いです。

例を挙げます。店舗型のサービス業を想定します。

人事の取締役が「店長が育つ仕組みをつくる」という施策を持ったとします。割ると、こうなります。

・店長に必要な力を書き出す(人事部長・四月末)
・店長全員を、その力で見て、足りないところを一覧にする(人事部長・五月末)
・足りないところを埋める研修の中身を決める(人事取締役・六月末)
・一回目の研修をやる(人事部・七月)
・受けた店長に、何が変わったかを聞く(人事部長・八月末)

営業の取締役が「既存店の客単価を上げる」を持ったとします。

・客単価の高い店と低い店で、差がどこから出ているかを調べる(営業企画・四月末)
・高い店でやっていることを、手順として書き出す(営業企画・五月末)
・三店舗で試す(エリア長・六月)
・試した結果を見て、手順を直す(営業取締役・七月末)
・全店に広げる(営業取締役・八月から)

どちらも、名前と期限とやることが入っています。ここまで割ると、会議で進み具合を聞けます。割っていない施策には、聞きようがありません。

割り方には三つだけ条件があります

条件は、誰がやるのかが名前で入っていること、いつまでかが日付で入っていること、そして「やる」と言い切れる形で終わっていることの三つです。

「検討する」「進める」では、終わったかどうかが決まりません。「案を三つ出す」「三店舗で試す」なら、終わったかどうかが決まります。

細かさは問いません。施策によって適した大きさは変わります。ただ、この三つが揃っていないタスクは、あとで必ず「やっています」という報告になります。

一人ひとりの仕事を書き出す

WBSは組織の仕事の一覧です。ところが、実際の仕事はそれだけではありません。急な対応や頼まれごと、ふと思いついたことなど、一覧に載っていない仕事が毎日出てきます。

これを頭の中に置いたままにすると、いずれ忘れます。忘れないように覚えておこうとすると、今度は目の前の一つに集中できなくなります。

だから、頭の中に置かず書き出します。書き出す場所は、Notionに用意しておきます。

やり方は決まっています。仕事の種類でカテゴリーを分け、一つの仕事はタスクとして置き、大きければサブタスクに割ります。どれにも期限を入れます。WBSから来た仕事も、そうでない仕事も、同じ場所に並びます。

こうすると、自分がいま何を抱えているかが一つの画面で見えます。会議の前に思い出す作業が要らなくなります。

第7章 ビジョン・ミッション・バリュー

中期経営計画は、ビジョン・ミッション・バリューからの逆算で作ります。会社が向かう先が言葉になっていないと、何に手を付けるべきかが決まりません。

三つの言葉が何を指すかを先に揃えておきます。ビジョンは、自分たちが生み出せるいちばん良い未来の姿です。自社が大きくなった姿ではなく、その未来で世の中がどうなっているかまで含めて描きます。ミッションは、その未来へ向かうために自分たちが引き受ける取り組みです。バリューは、その取り組みを進めるときに何を優先するかの基準です。

よく見かけるのは、社員の心構えを並べたものです。ここで作るのはそれとは違い、十年後、二十年後にどんな世の中を創りたいのかを、自社の外まで見て言葉にします。

場に出る人

社長と取締役です。会社によっては、将来の幹部候補の若手を入れて作ることもあります。言葉を作った人が、後でその言葉を使う側になるからです。

七つの場

最低七回の場を重ねます。

一つめは、創業からの歴史をたどる回です。何があって今の会社になったのか、社長に聞いていきます。

二つめは、顧客の声を言葉にする回です。社長と取締役が自分の顧客から普段言われていることを持ち寄ります。あらためて聞きに行ってもいいですが、そこまでしなくてもかまいません。自分の中にある顧客の声を外に出せれば十分です。

三つめは、なぜこの事業をやっているのかを話す回です。

四つめは、出てきた言葉を整える回です。一つずつばらして、似たものをまとめていきます。個人のこと、組織のこと、会社と事業のこと、家族や友人のこと、社会のこと、というように、どの範囲の話なのかで分けていくと、言葉の層が見えてきます。

五つめは、価値の幹を探す回です。一つの言葉について、なぜそれをやりたいのかを上へ、どうやってやるのかを下へたどっていきます。すると、いくつもの言葉が同じ根から出ていたことが分かります。

六つめは、言葉にする回です。社会の視点から出てきたものがビジョン、事業の視点から出てきたものがミッション、個人の視点から出てきたものがバリューの候補になります。候補は八つの問いで絞ります。

・なぜこの事業を行うのかの答えになっているか
・社会の中での役割が表れているか
・自分たちの夢であり、同時に世の中の夢にもなっているか
・読んで共感でき、静かな喜びを感じるか
・他社にはない言葉になっているか
・十年後も使えるか
・誰にでも分かるか
・飾りの言葉が少なく、短いか

七つめは、社内への広げ方を決める回です。

間隔は会社の状況に合わせて決めます。じっくり十か月ほどかけることも、月二回のペースで四か月ほどで仕上げることもできます。

作ってからのこと

言葉ができたら、みんなが毎日見る場所に置きます。たとえば、Notionのトップページです。決めた言葉も、社長の記憶ではなく記録の側に置いておきます。

社内への広げ方は会社によって違います。必要な場合は、広げるところまで一緒にやります。

すでにビジョン・ミッション・バリューがある会社は、作り直すのではなく、いまの事業と合っているかを確かめるところから始めます。

第8章 中期経営計画

三年先までに何をやるかを決めて、誰が・いつまでに・何をやるかまで割ります。全部で八回、一回三時間の場を重ねます。出るのは社長と取締役全員です。

この八回を、月次経営会議の中でやる会社と、別に場を設けて進める会社があります。分かれ目は、急いで仕上げたいかどうかです。急ぐなら、別の場を設けて並行して進めます。急がないなら、月次経営会議の中で進めていきます。

何のために作るのか

初回に、作る目的を社長と揃えます。目的は四つあります。

・毎年ゼロから考えなくてよくなること
・外の変化に合わせて手を打てること
・会社が何をやっているかが全員に見えること
・そして取締役が自分の施策を持つことです。

四つめがいちばん大きな目的です。施策に名前が付き、それが誰のものかが決まります。持っている人がいる仕事は進みます。

八回の流れ

やること

第1回

キックオフ。何のために作るかを全員で揃える

第2回

自社の強みと、外から来る機会を書き出す

第3回

自社の弱みと、外から来る脅威を書き出す

第4回

強みと機会を掛け合わせ、攻めに出る施策を作る(積極戦略)

第5回

強みと脅威を掛け合わせ、他社と違う道を行く施策を作る(差別化戦略)

第6回

弱みと機会を掛け合わせ、弱みを埋める施策を作る(改善戦略)

第7回

弱みと脅威が重なるところを見て、退く判断をする(撤退戦略)

第8回

出そろった施策の中から、やるものを選んで確定する

強み・弱み・機会・脅威から施策へ

自社の強みと弱み、外から来る機会と脅威を並べます。並べたら掛け合わせます。

強みと機会が重なるところからは、攻めに出る施策を作ります。強みと脅威が重なるところからは、他社と違う道を行く施策を作ります。弱みと機会が重なるところからは、弱みを埋める施策を作ります。弱みと脅威が重なるところは、退く判断をします。

四つとも埋める必要はありません。ある会社では、攻めに出る施策を十、弱みを埋める施策を十集め、残る二つの枠は「日ごろの仕事として当たり前にやること」と位置づけて、施策にはしませんでした。無理に埋めた枠から出てくる施策は動きません。

三年の方針からWBSへ

施策ごとに、担当する取締役を会議の場で決めます。決めたら、施策を仕事の単位まで分けます。誰が・いつまでに・何をやるかまで分けて、はじめて記録として残せる形になります。

取締役全員に効きます

型の中で中期経営計画だけは、受け取るだけで成り立ちます。自分の管掌に施策が名指しで決まるので、自分で仕事を分ける力や、考えを言葉にする力は求められません。だから、全員が同じところから始められます。

できあがるもの

できあがるものは、中期経営計画の資料と、行動計画のWBSの二つです。
資料には、前期の振り返り、自社の強みと弱み、外から来る機会と脅威の整理、施策とその時期が入ります。社員に説明するための部分も、この資料の中に含めます。

第9章 月次経営会議

月に一度、社長と取締役全員が集まります。一回三時間です。中期経営計画づくりも、施策の進み具合の確認も、その月ごとの協議も、すべてこの場に載ります。この場が型の器です。

この場があるから、仕事に期限がつきます

日付が決まっていて、その日に全員の前で話すことになっています。それだけで、誰かに急かされなくても、仕事に期限が生まれます。

この場で共有して決まったことは、会社の決定になります。二人のあいだで合意しただけでは、組織の決定にはなりません。歴史のある会社ではとくに、決まったことが決まったと認められる場が要ります。

最初の数か月

中期経営計画がまだない会社では、この場を使って作っていきます。進め方は、第8章に書いた八回の流れです。あわせて、部門ごとの当面の課題も持ち寄り、その場で書き出して施策に加えていきます。会議が報告の場ではなく、考えて決める場になります。

中期経営計画ができてから

三時間の使い方は、半分が進捗の確認、半分がその月のテーマの協議になります。

前の週に、その日話すことを共有しておきます。当日は、施策の順に状況を見ていきます。担当の取締役が状況を話し、他の役員が質問や補足を入れます。

残りの半分は、その月に話すべきことに使います。テーマはその時々で変わります。たとえば、新しい事業をどう組織にしていくか、外で起きている技術の動きをどう見るか、判断が分かれたときに何を優先するか、といったことです。

決まったことにその場で印を付ける

会議中に決まったことや、やると決めた仕事が出てきたら、その場で印を付けていきます。会議の終わりに、付けた印を全部読み上げて、確認して閉じます。こうすると、同じ場にいたのに人によって違って覚えている、ということがなくなります。

記録は道具に残ります

施策とWBSはNotionに置きます。取締役とその部下が、進み具合を自分たちで更新します。誰かに報告するためではなく、自分の仕事の状態をそこに映しておく形です。

会議の記録はMiroに残していきます。前の週に話すことを共有するのも、この場所です。月を追って並んでいくので、いつ何を決めたのかを後から辿れます。

会議と会議のあいだのやりとりは、Slackでします。話題ごとに一本の流れとして残るので、後から読めば経緯が分かります。届いた知らせは、その場で自分のタスクに変えられます。やりとりが記憶ではなく記録に残るので、集まらなくても仕事が進みます。

会議の音声は、文字起こしの道具で文字にして残します。会議のあと、その日のうちに、この文字起こしをAIに読ませて、議事録の下書きを作らせ、Notionに収めます。人はその下書きを読み、間違いと抜けだけを直します。議事録を一から書く仕事は必要ありません。確かめが済んだら、やるべきことをWBSに書き移し、Slackで、会議に出る全員に知らせます。会議のあった日のうちに、この仕上げは終わります。

会議のあと

次の月の会議で、進み具合を見ます。前の月に決めたことを確認する時間をわざわざ設けることはしません。施策の進捗を見ていけば、その中に出てきます。

必要な場合は、月初に個別の場を持ちます

取締役が施策を進めるとき、詰まりやすいところが二つあります。社外の情報が足りないときと、話を組み立てる力が追いつかないときです。

そういう場合に、月初に一人ずつ六十分の場を持ちます。施策の進み具合を話しながら、その場で記録に反映していきます。後半は、困っていることを聞きます。調べる必要があることは持ち帰り、AIで調べてまとめて後日届けます。

全員に必要なものではありません。必要な人にだけ、必要な間だけ持ちます。

道具の用意

NotionとMiroとSlack、AI、そして会議の音声を文字にする道具を使います。すでに別の道具を使っている場合も、この三つの道具に寄せてもらいます。道具の契約は、会社で持っていただきます。詳しくは料金のページに書いてあります。基本の使い方はこちらで教えます。教えることに費用はかかりません。

第10章 全社AI研修

中期経営計画で施策を決め、WBSで仕事の単位まで割っても、それだけでは仕事は進みません。実際に調べ、考え、資料を作り、周りを動かすのは、一人ひとりの社員です。

全社AI研修の目的は、AIに詳しい社員を増やすことではありません。決めた仕事を、一人ひとりがAIと進められる会社にすることです。だからこの研修は、計画や会議とは別の取り組みではありません。型の『進める』を受け持ち、中期経営計画と月次経営会議を実際に動かします。

全部で十四回、一回六十分です。正社員全員が受けます。使う道具は、その会社の環境に合わせて選びます。

受けて終わりにならないよう、十四回のあとも毎月続く形にしてあります。

なぜ全社なのか

取締役だけがAIを使えても、会社は変わりません。施策を進めるのは、その下にいる人たちです。調べる、まとめる、資料にするといった仕事が速くなるかどうかで、施策の進み方が変わります。

早く始めたほうがいい理由は、第5章で書いたとおりです。AIを使う力は使った人のところに積み上がり、使っている会社と使っていない会社の差は、時間が経つほど開いていきます。

十四回の内容

段階

受け持ち

各回のテーマ

基礎(第1〜4回)

AIを仕事で使える状態にする

生成AIとは何か/生成AIの仕組み/基本ツールの基礎/基本操作

活用(第5〜9回)

施策を進める日々の仕事を速くする

情報収集と要点整理/業務文書の作成と校正/定型業務の自動化/アイディア発想/契約・規約の確認

応用(第10〜12回)

会議に出す形に仕上げ、会社に知識をためる

スライドを短時間で作る/社内の知識をAIに集める/施策を伝えるための画像・動画を作る

運用(第13〜14回)

会社としてAIを使い続ける決まりを作る

生成AIの倫理と社会への影響/社内ガイドラインを作る

実際に何に使われるようになるか

すでに実施した会社では、営業の数字を分析する、議事録を作る、調べものをする、企画を立てる、スライドを作る、説明資料を作るといった仕事にAIが入りました。

どれも、施策を進めるときに必要になる仕事です。中期経営計画で誰が何をやるかが決まっていて、月次経営会議でその進み具合を見ている会社では、AIはその仕事に使われます。何をやるかが決まっていない会社にAIを配っても、使う先がありません。研修と月次経営会議を近い時期に重ねるほど、研修は効きます。

合わない人には別の道があります

第4章で書いたとおり、この型のやり方に合う人も、合わない人もいます。合わない人を変えようとするのではなく、道を用意します。道は三つあります。

一つめは、足りないところを外から補う道です。社外の情報が足りない、話を組み立てるのが苦手といった場合は、第9章に書いた月初の個別の場で補います。本人がやり方を変える必要はありません。

二つめは、部下に力がつく道です。この章の全社AI研修がこれにあたります。ある会社では、施策を分解したり考えを言葉にしたりすることが得意でない取締役がいました。部下たちがAIを使えるようになると、その取締役は部下に仕事を渡すようになりました。渡せる相手ができたからです。上の人を変えるのではなく、下に力がつくことで、上の動きが変わりました。

三つめは、道具に任せる道です。記録を残す、書き移す、期限を知らせるといった作業は、そもそも人がやらなくて済みます。

三つのどれで進むかは、人によって違います。

毎月のAIニュース

研修が終わったあとも、毎月三十分のAIニュースを配信します。社員は好きな時間に見られます。

ニュースは、調査からスライド、原稿、音声、動画まで、すべてAIで作っています。人手をかけずに毎月続けられる形にしてあります。AIの動きは速いので、一度の研修で終わりにはできません。

このニュースは、月額の中に含まれています。

含まれないもの

部門ごとにAIを業務へ組み込んでいくところまでの支援は、会社ごとの事情が大きいため、この範囲には入れていません。必要な場合は、別に相談を受けます。

第11章 合う会社、合わない会社

MIRAI BOARDが解くのは、社長の記憶で経営が回っている状態です。だから、合うかどうかの線もそこにあります。経営を移す先があるか、そして移す時期が来ているかです。

なぜ全社なのか

・取締役はいるのに、判断がすべて社長に上がってくる会社。移す先はあるのに、経営がまだ移っていない、この型が解く状態そのものです。

・会議を毎月やっているのに、報告を聞いて終わっている会社。集まる場は既にあるので、決まったことを記録に残す進め方を入れるところから始められます。

・中期経営計画を作ったことはあるのに、作って終わった会社。作り直す必要はありません。いまある計画を施策とWBSの形に組み直し、月次経営会議につなげば動き出します。

・店舗や拠点、事業が増えて、社長が全部を見きれなくなってきた会社。会社の実態が、記憶で追える範囲を超え始めています。記録に移す時期です。

・歴史のある会社を、二代目・三代目の社長が継いだ会社。先代の頭の中にあった経営は、引き継げません。記録で動く経営へ作り変える、いちばんの機会です。

・創業社長が、次の世代へ経営を渡す準備を始めたい会社。頭の中の経営を記録に変えておくと、渡すときの負担が軽くなります。

合わない会社

・社長一人で決められる規模で、それで困っていない会社。経営を移す先が要りません。

・創業して間もない会社。まだ役割を分けず、全員で同じ仕事を追いかける時期です。管掌を分けるのは、その先です。

・資金繰りなど、いますぐの手当てが要る会社。この型は、毎月の場を重ねて施策を育てていくやり方です。急ぎの局面には間に合いません。

型を支える研究

経営を一人の記憶に頼らないこと(第1章)

誰が何を知っているか、仕事をどう進めるかの理解がチームの中で共有されているほど、成果が高いことが分かっています。65件の研究をまとめた分析で、この関係が確かめられました(注1)。日本でも、経営者の高齢化が進むなか、培われた経営資源をどう次の世代へ引き継ぐかが、国の白書で社会的な課題として取り上げられています(注2)。

頭に置かず、書き出すこと(第3章・第6章)

やりかけの仕事は、別の仕事をしているあいだも頭に割り込み、手元の仕事の出来を下げます。実験では、いつ・どうやるかを計画に書き出すと、仕事がまだ終わっていなくても、この割り込みが消えることが確かめられています(注3)。ただし効いたのは、やるつもりで書いて、あとで本当に実行した人の計画でした。

誰が・いつまでに・何をやるかを決めること(第6章・第8章)

やると決めたことを、いつ・どこで・どうやるかまで先に決めておくと、実行される割合が上がります。94件の検証をまとめた分析で、その効果は中くらいから大きいものだと確かめられています(注4)。この決め方は、仕事への取りかかりを早め、途中でほかのことに流されるのを防いでいました。

計画をつくること(第8章)

計画をつくっている会社ほど業績がよい、という関係が、中小企業を対象にあわせて60件の研究をまとめた二つの分析で確かめられています(注5)。この関係は、創業して間もない会社より、続いてきた会社で、はっきり出ていました。日本でも、経営計画を作成したことのある小規模事業者のほうが、売上が増加傾向にあるという調査結果が国の白書に載っています(注6)。つくりさえすれば必ず伸びるという証明ではありませんが、差の向きは海外でも国内でも同じです。

進み具合を確かめ、記録に残すこと(第9章)

進み具合を確かめる回数を増やすと、目標を達成する割合が上がります。138件の実験、参加者あわせて約2万人分をまとめた分析で確かめられており、進捗を記録に残す場合と、人に見える形で報告する場合に、効き目はいっそう大きくなっていました(注7)。日本の白書にも、計画の運用が十分にできていると答えた事業者のほうが、売上や利益が増えた割合が高いという調査があります(注8)。毎月の場で進み具合を確かめ、記録に残し、全員の前で話す、という型の進め方は、この三つを毎月そろえて行うことに当たります。

全社でAIを使えるようにすること(第10章)

次の月の会議で、進み具合を見ます。前の月に決めたことを確認する時間をわざわざ設けることはしません。施策の進捗を見ていけば、その中に出てきます。

出典一覧

注1 DeChurch, L. A. & Mesmer-Magnus, J. R. (2010). The Cognitive Underpinnings of Effective Teamwork: A Meta-Analysis. Journal of Applied Psychology, 95(1), 32-53.

注2 中小企業庁「中小企業白書」2021年版 第2部第3章第1節・2022年版 第1部第1章第7節(事業承継に関する記述)

注3 Masicampo, E. J. & Baumeister, R. F. (2011). Consider It Done! Plan Making Can Eliminate the Cognitive Effects of Unfulfilled Goals. Journal of Personality and Social Psychology, 101(4), 667-683.

注4 Gollwitzer, P. M. & Sheeran, P. (2006). Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-Analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69-119.

注5 Brinckmann, J., Grichnik, D. & Kapsa, D. (2010). Should Entrepreneurs Plan or Just Storm the Castle? A Meta-Analysis on Contextual Factors Impacting the Business Planning–Performance Relationship in Small Firms. Journal of Business Venturing, 25(1), 24-40./Schwenk, C. R. & Shrader, C. B. (1993). Effects of Formal Strategic Planning on Financial Performance in Small Firms: A Meta-Analysis. Entrepreneurship Theory and Practice, 17(3), 53-64.

注6 中小企業庁「2016年版 小規模企業白書」第1部第2章第3節 第1-2-39図「経営計画の作成の有無と売上高の傾向」

注7 Harkin, B. ほか (2016). Does Monitoring Goal Progress Promote Goal Attainment? A Meta-Analysis of the Experimental Evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198-229.

注8 中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」第3部第2章第1節 第3-2-17図

注9 Noy, S. & Zhang, W. (2023). Experimental Evidence on the Productivity Effects of Generative Artificial Intelligence. Science, 381(6654), 187-192.

注10 Brynjolfsson, E., Li, D. & Raymond, L. (2025). Generative AI at Work. Quarterly Journal of Economics, 140(2), 889-942.

注11 Dell'Acqua, F. ほか (2023). Navigating the Jagged Technological Frontier: Field Experimental Evidence of the Effects of AI on Knowledge Worker Productivity and Quality. Harvard Business School Working Paper 24-013(のちに Organization Science 誌に掲載)

標準の道具構成

型で使う道具と、その受け持ちです。道具はよいものが出たら入れ替えます。それぞれの使い方は、手引きに書いてあります。

道具

受け持ち

Slack

普段の会話と途中経過を残す

Miro

中期経営計画を置き、会議で考えを見える形にし、月を追って振り返る

Notion

決まったこと、施策とWBS、議事録、一人ひとりの仕事を置く

Zoom

オンラインで会議を行う

tl;dv

会議の音声を文字にして残す

Gemini Notebook

たまった記録を読み、議事録の下書きを作る

Claude

調べ、考え、文書を作る

MIRAI BOARDについての中身、料金体系も、合う会社の線も、すべてこのサイトに記載しています。ご確認いただいてから、ご相談ください。